横断歩道について暫く行ったり来たり、はて?陽が当たっているせいかな。そんなに寒いと感じない。
手袋を取っていても、手が冷たくならない。
2年生の男児が、団体で帰ってきた。
「やー、皆お帰り!」
見ると長袖だが丸首シャツの児童がいる。下着とともに丸首も冬用のちょっと厚手のものだろう。
コートも着て、首にマフラーを巻いている児童もいる中で、目立つ。
「よー、それで寒くないのか?」
「寒くないよ」
「そーか。凄い!でも風邪をひかないように気を付けてな」
「大丈夫だよ」
元気でいい。
横断歩道を渡ると、狭い路地を通る。
今日は、児童がその路地に入ると、自動車がよく続けて入って行く。
4回あった。
自動車が曲がるというウインカーを出していると、私は路地の入り口に走っていって笛を鳴らし、児童に自動車が後ろから行くという注意をする。
何しろ狭い路地だから、ランドセルを背負ったままだと、コンクリート壁にピタッとくっついても、自動車は通れないので、そばの家の玄関前のたたきに逃げ込まなければならない。
自動車の前に転げ出たり、自動車との動きが遇わないと接触事故になりかねない。
こういった注意も必要だが、この狭い路地を知っていて、児童の傍を通るとき児童を誘拐したりしないか、自動車が向こうの道に出て、安全だった確認ができるまで見ている。
向こうから女子児童2人が帰ってきた。振りかえって目が合った。するとピタッと止まる。
オー来たな。私は後ろを向いて、5位数えて振り返る。
児童は体を前につんのめるようにして止まる。
また後ろを向いて、停止棒を振り上げて振り子のように5回くらい振って、振り返る。
2人はもうそこまで来ている。
よし。後ろを向くとほとんど同時に背中を突かれて
「ターッチ!」
「うわー、早いな。タッチされたか」
2人の女子児童はやったとばかり、飛び上がって帰っていく。
こりゃーお遊びだな。
色の白い日本人形のような綺麗な顔の女子児童が帰ってきた。
「お帰り」
「おじさん。ほら、あそこ。月みたいのがあるよ」
「おー、あれは月だよ」
「だって、今昼間だよ?」
「うん。でも昼でもあのように月は見えるときがあるんだよ」
「そうなんだ」
「ほら、太陽があのように高いところにあるよね。あの光が月を照らして、昼間でも見えるのさ」
「本当」
「月も動いているんだよ。あそこから動いていって、今度は夜になると見えるようになるんだ」
この前、2年生の男子児童に、やはり月が見えているとき、
「ほら、月が綺麗に見えてるよ」
と言ったことがある。
「そうかい」
児童は見もしないで、そう言い残して、横断歩道を駆けるように帰ってしまった。
児童もいろいろである。
でも、今日の女子児童は、褒めてあげたい。
地球と月の動きとか、日食と月食の話、月はどうして同じ模様しか見えないのか、機会を見て話してあげようかな、と思って。
これは私の思い上がりかな。
昼の月に目をやってくれる児童がいた。嬉しい。
気分の良い一日だった。

